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家づくりコラム
2021.05.08

いまだに田植えをしている基礎工事

この記事を書いた人

代表取締役
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家

建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。

基礎工事をするうえで、業界用語として「田植え」という言葉があります。まさしく田んぼに稲の苗木を植えるような施工をすることから「田植え」と言われています。

建物を建てる工程において、まず一番先にコンクリート基礎の工事が始まりますが、コンクリート基礎と木造躯体の一番カナメの土台の部分をしっかり緊結するためにアンカーボルト(ホールダウン)という金物を埋め込むのですが、当然コンクリートが固まってからでは埋め込むことができず、生コンクリートを打ち込む前にアンカーボルト(ホールダウン)をセッティングするという事が求められます。

コンクリートを打ち込む前に、アンカーボルト・ホールダウン金物のセットがベスト

ただ基礎施工業者によっては、前述の田植えという方法で金物を埋め込む会社もまだ見受けられます。基礎の立ち上がりのコンクリートを打設した後、コンクリートが硬化しない柔らかいうちにアンカーボルト(ホールダウン)を埋め込むという事です。

建築基準法には、田植え方式がダメというそこまでの細かい施工方法まで書かれてはいませんが、フラット35工事仕様書には、

「アンカーボルトの保持は、型板を用いるなどして正確に行い、移動、下部の揺れなどがないように、十分固定する。」

「アンカーボルトの保持及び埋め込み工法の種別は、特記による。特記がない場合は、アンカーボルトを鉄筋などを用いて組み立て、適切な補強材で型枠の類に固定し、コンクリートの打ち込みを行う」

と書かれていますので、基本的に鉄筋や型枠に動かないように固定をしてコンクリートの打ち込みをするのが良い施工方法だと思います。

昔は、コンクリート打設後に、田植えをしている基礎業者が大半でした。それは、アンカーボルトの位置や本数もそれほど細かく決められていなかったのが原因と思われます。ましてホールダウン金物なんてなかったのですから。

コンクリートを打ち込んだ後にアンカーボルトを田植え方式でセット

ただ、夏の時期にコンクリートの打ち込みを行うと、あっという間に硬化が始まりますので、ちょっと手間取っていると田植え方式ではコンクリートの中に埋め込めずに施工不良になってしまうとか、何とか埋め込めてもボルトのわきにすあなが出来て、塞がらずにアンカーボルト(ホールダウン)の引き抜き強度不足という事態にもなりかねません。田植え方式ですと手間はかかりませんが、施工精度が低くなり、コンクリートの強度がアンカーボルトにきちんと伝わらないと思います。

でもいまだに、簡単だから、手間がかからないからと言って田植え方式でアンカーボルトをセットしている業者が見られます。こういう部分一つとっても、施工精度の良し悪しが出てくる場所ですね。仕上げってしまえば見えなくなる部分です。

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