2024.10.26
やっぱり集成材は水分に弱い!
この記事を書いた人
サンエム建設株式会社代表取締役 大山剛人
パッシブハウスを中心とする高気密・高断熱住宅の専門家
建築歴45年、創業は1999年。100年快適に住める健康住宅を思い高気密・高断熱を極めパッシブハウス住宅をわかりやすくお伝えします。
去年9月の台風19号による水害は甚大な影響をもたらし、住宅にもその影響が表れています。河川の氾濫による床上浸水した住宅があちこちで被害を受けました。弊社の活動拠点は海がないので波の被害はなし、地域的にもそれほどの暴風雨が吹く地域ではなく、しいて言えば川の氾濫が気になるところです。
その川の氾濫で床上浸水の被害を受けた方がいます。弊社に連絡が入り行ってみると、やはり地形的にまわりよりも低く近くに川が流れています。
そのお宅は数年前に大手開発分譲会社が分譲住宅として建てて、それを購入したお家でした。弊社では現状の調査をさせてもらい、色々な手続きをして改修工事を始めました。
床材やそれを支えている材木は水につかっているので再使用はできません。床に関する材木や建材(断熱材等)は廃棄処分しなければなりません。先ずは1階部分の床材や床を構成している(支えている)部分の撤去から始まりました。
床材等の撤去後の写真が下の写真です。
この住宅は土台に集成材を使用していたのですが、水に浸かった影響で集成材の木片をつないでいるいる接着剤の接着力がなくなり剥がれていました。しかもそこから水が浸入し土台の木が気持ち膨れ上がっているような感じも受けました。土台と言えば構造体の一番大事な部分、建物の全重量が載ってくる部分です。そこに亀裂が生じるような強度不足を招いてしまったら、構造的に不安になってしまいますね。
一般的に建築資材に使用されている接着剤の多くが水分の影響を受けると接着力が弱くなると言われています。しかし集成材の方が安価で無垢材と同じくらいの強度があるので、多くの構造材や内装仕上げ材等に使われています。近年接着剤は研究開発が進み、水に強い接着剤(建築資材に使われているかは不明ですが)もあります。しかし接着剤の成分にはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン等々のシックハウス症候群・アトピー・アレルギー等の化学物質を使っているのも現実です。
集成材は水分に弱いという事を実感した事例でした。